小学6年生で起立性調節障害と診断された娘も、いよいよ明日が卒業式の日。
先生から「午後から2部もやるから、午前の式に来てほしいけど、無理ならそちらに来てね」と言われていた。
なんてやさしい。
配慮をしていただけることをありがたく思いながら、前日夕方電話をした。
「明日の式ですが、やはり最近午前は起き上がれないので、難しいと思います。午後からの式参加の予定で考えてますが、明日朝連絡した方がいいでしょうか?また、午後ならば何時ごろ伺ったらよろしいでしょうか?」
先に伝えておいた方が、よいだろう。
厳かな式のこと、途中参加はできないし、どちらかわからないと先生も落ち着かないだろう。
先生は、「そうですか…」
残念そうだ。本当にいい先生だなぁ。
「では2部は14時半から、体育館で行いますので、それまでに来れそうなら待ってます。夕方になると式が行えるかわからないですが、でも体調に無理はしないでくださいね」
そして、当日。
一応朝起こすが、やはり起き上がれない。
学校に電話して、「やはり2部でお願いします」と伝えた。
やっと、トイレに起きたのが昼過ぎ。
でも、ぐったり、座椅子に持たれながら食事。
食べ終わっても、動けない様子。
時間はどんどん過ぎていく。13時半回って、動こうとするが、倒れこむ。
吐き気もあるようだ。
しょうがない。卒業式はあきらめよう。
14時前に電話して、「2部も無理で、夕方に荷物を取りに行きます」と伝える。
「わかりました。ちょっと相談しますので、折り返し電話しますね」
しばらくして、担任の先生から電話があり、
「では、3部を校長室で行いますので、16時にお待ちしています。よかったらお母様も同席してください」
なんと、まさか3部まで待っていただけるとは。
16時前、何とか身支度をして、学校へと向かう。
向かう途中も吐き気に襲われるが、急いで水を飲んで落ち着かせる。
いい天気なのが幸いだった。
学校に着くと、3年の学年主任が部活の生徒たちに何やら話をしていたが、まだ袴姿だった。
窮屈だろうに、先生の思いやりが身に染みてうれしかった。
校長室に向かっていると、担任の先生が迎えに来てくれた。
スーツが細身の体によく似合っている。
みんな夕方まで、正装のまま待ってくれていたのだ。
校長室前。
「ノックは要る?」「入ったら、どうしたらいい?」
いちいち気になるのが、やはりまじめな性格だ。
「入ったらまっすぐ校長先生の所まで進んで、先生が名前を呼ぶから返事して証書を受け取ってね。大丈夫、狭いから迷わないよ」
先生も、ちゃんと答えてくれる。
校長室に入ると、狭い室内にずらりと先生方が並んで花道を作ってくれていた。
おおっと、びっくり。
彼女は校長の前まで進んでいき、呼ばれるのを待っていると、フライングで校長先生が手渡そうとする。
担任が、あ、名前呼びますので、と笑いそうになるが、そこは一同、式をきちんと進行させようと、笑い声は起きなかった。
改めて名前が、呼ばれ、手渡される、
本人も「はい!」。
大きくはないもののきちんと返事をしていた。
実際の式では人数が多く学年代表だけが手渡されるのだが、直々に校長先生から授与していただいた。
特別ないい卒業式を行ってもらって、本当に感謝。
3年生の先生方勢ぞろいで、時間を合わせて見送ってもらい、「ああ、本当に卒業したのだな」という実感が湧いてくる。
3年間、大変なことやどうにもならない苦しい思いもあったが、学校側の理解があり、様々な配慮をしていただき、ずっと見持っていただいた。
本人が、まじめで頑張ろうとする意志を見せていたこともあるが、多様な生徒を見守る学校に時代とともに変わってきたのだと思う。
何はともあれ、これでひとくぎり。
3年間体も思うように動かず、しんどいことも多かったけど、
「良く頑張ったね!本当に偉かったね。おめでとう!」