小学6年生の12月に起立性調節障害と診断された娘、学校に行けない日が続いていたが、3月に卒業遠足があった。
本人はとても楽しみにしていたが、朝ずっと起き上がれてなかったので、私は当日どうなるかドキドキしていた。
先生と電話でやり取りをし、当日何時でも状況に応じて現地で合流させてもらえる段取りをつけて、私も仕事を休んで現地に送っていくことを覚悟していた。
少しでも参加できたらいい思い出になるだろう。
ところが当日。
なんと奇跡のように朝起きることができて、みんなと同じバスで遠足に参加し、一日中行動できた。
その翌日は、どっと疲れが出て、しんどそうだったが。
周りから見ると不思議だが、起立性調節障害の子は、特別な日は何日分ものパワーを使って起きられるようだ。
なにわともあれ、学校を休むことが続いてお友達と遊ぶ機会が減り、さみしい思いをしていたので、小学校の最後に良い思い出ができてよかったと思う。
そうこうしているうちに、卒業式の日。
当初最前列の席だったが、本人は「式中に気分が悪くなったらどうしよう。びしっと姿勢を正しておけるかな」と心配していたので、先生に相談して、最後列に変更してもらった。
養護教諭も近くに待機してくれていて、安心して卒業式に参加することができた。
真面目できちんとしたい性格なので、その分心配や気になることが多いのだろう。
少しでも不安を取り除いて安心させてあげることが、私にできることだった。
そして、大事なのが心のよりどころになることだと思う。
学校を休みだして、3カ月ほどたち、お友達との直接のやりとりも少なくなっていった。
このころ推しのアイドルがいて、そのMVをよく見て元気を出していたが、そのほかに毎日の生活の中で増えていったのが、私とのハグだった。
ことあるごとに両手を広げて、「ハグ~」と言い、それに応えてぎゅーっとすると、うれしそうに「お母さん、大好き」と言ってくれる。
毎日介護状態で、朝は自力で起き上がれないので、抱きかかえて起こし、両手を取ってトイレに連れて行く。
病院に行く前や、寝る前にしんどくて着替えができないと、脱がして着替えを手伝うこともしばしば。
だから、日常的に体の密着度は増していたが、さらにハグをかなりの頻度で求めてくるようになった。
私は、ある種の赤ちゃん返りかなと思いながらハグに応えていたが、彼女には皆から取り残されるような不安な気持ちがあったに違いない。
言葉にはしなかったものの、押しつぶされそうなつらい気持ちをハグで埋めていたのだと思う。
それは、私にとっても求められたり、娘の体温を感じたりと、とても幸せな時間だった。